2.都江堰と、臥龍~パンダの里~ 中国に来てする事。それはマックシェイクを飲む事(タイにはないので)。成都に来てする事。それは麻婆豆腐を食べる事。という訳でまずはマクドナルド。久しぶりに大好きなストロベリーシェイク(5.5元)を飲んで大満足。それにしても安くはない食事なのはずだが、結構多くの中国人で賑わっているものだ。 続いて麻婆豆腐。実は留学時代にも食べたのだが、あまりの辛さに一口で撤退してしまった経験がある。今回はタイで鍛えたこの舌で再挑戦しようと意気込んでやって来たのだ。 成都市内に陳麻婆豆腐店は幾つか支店があるようだったので、宿から一番近い場所に向かう。結構立派な建物に入り、早速麻婆豆腐を注文。ビールと一緒に運ばれてきたそれは、やはり恐ろしい色をした食べ物であった。 一口食べる。何とかいける?続いて二口、三口。辛さは何とか耐えられるレベルだったが、問題なのは山椒。食べれば食べるほど口の中が痺れる。結局半分ほどしか食べられなかった。ああ、また敗退か。。
翌日、宿の近くにある文殊院を散歩。静かなお寺で外の喧騒が嘘のようだ。やはりタイの派手なお寺より、中国や日本のお寺の方がしっくりくる。お香の匂いと、境内をほうきで掃く音が朝の静寂の中に響く。 都江堰へのバスは成都市内にある茶店子バスターミナルから出ている。幸いここから多発しているようで着いてすぐバスに乗ることができた。1時間ほどで到着。ついでにバスターミナルで明日の臥龍行きのバスも予約する。 都江堰へはバスターミナルの前にある4番のバスで行くことができる。多くの客引きを断り、早速バスに乗る。 15分ほどでバスは都江堰らしき場所に到着。降りてみると「都江堰」の文字が見える。正解のようだ。 さて、到着したはいいが、宿がない。バスの中からずっと宿を探していたのだが、ほとんど見当たらなかった。どうも都江堰は成都から日帰りで来る場所のようだ。ようやく見つけたさびれた宿でも、「外国人はシンガポール人に続いて2人目だ」と言われた。
都江堰。 岷江上流にある古代水利施設。紀元前256年に岷江の氾濫を防ぐ為に、李さん親子がこの水利施設の工事を開始する。 仕組みを簡単に説明すると、外から流れ込んだ川の水を内側(街方面)に入れ、水量が多ければ再度外の本流に戻す。そのような仕掛けが数ヶ所あり、水の少ない時には水全部を、多い場合には一部をと、安定した水量を得る事ができるようになっている。この水は、今もなお遠く成都の都を潤している。 入口近くに大量に水が流れる水路があるのだが、あまりの豊富な水量に最初「大雨でも降ったのか」と勘違いしたぐらいである。 入場料(90元)を払い、綺麗に整備された園内に入る。重要なポイントは大概見学できるようになっており、かなり歩く事になるのだが都江堰の仕組みを肌で理解する事ができる。最初は「水利施設?」と思っていたが、思ったよりは面白い場所である。
離堆公園、伏龍観、碑亭、そして魚嘴を訪れた後、対岸に渡り二王廟を見学。ちなみにここから下っても出口に出ることはできるが、それなりの山登りとなる。景色はいいのだが、起伏があるとは思ってもいなかったので大変だった。峨眉山の疲れがまだ取れていなかったので。。
夕方、都江堰のデパートで買い物をする。後で考えれば都江堰はかなりの街だった。 翌日、都江堰に別れを告げ、11時の臥龍行きのバスに乗る。走り出してすぐに大きな湖の横を走り始めた。かなりスリリングな道。落ちたら結構やばいかも。そしてあまり考えていなかったのだが、随分と標高が上がってきているようだ。臥龍が高地にあるのだとこの時初めて気付いた。。 その後、舗装された道路は信じられないような悪路に変わってしまった。水溜りに大きな段差、道の隣で崖崩れを起こしている場所すら何ヶ所もあった。拡張工事をしているとの事だが、これでは工事しているのか壊しているのか分からないほどである。この分では後数年は掛かるだろう。 それにしても臥龍とは随分と山奥にあるようだ。かなり山の中を走り続けているのだが、まだ着かない。時々入ってくる外気がかなり冷たい。深い山のようだ。
そう思いながら悪路に耐える事3時間、ようやく臥龍パンダ基地の前を通過した。バスはこのまま臥龍の街まで行くらしいが、突然だったので思わず降りてしまった。 「え、ここ?」 最初の感想である。さびれている。そりゃまあ、こんな山奥で賑わっている方が不思議だが。といあえず60元という馬鹿高い入場料を払い、入園。正式名称は「臥龍中華大熊猫苑」。ややこしい名前だ。 入園したもののほとんど人がいない。でもパンダはそれなりにいた。早速デジタル一眼を取り出す。
まったく期待していなかったパンダだったが(世界遺産なので訪れた)、改めて見てみるとなんとも可愛い。そう言えばじっくりパンダを見たこと何て何年前の話だろう。無邪気に笹を食べるパンダ。じゃれあうパンダ。なるほど、人気があるのもよく分かる。ではもう少し。
動物には癒しの効果があるらしいが、パンダには特にあるように思う。これまでは「けっ、パンダ?」、30過ぎたオヤジが何言ってるんだ等と思っていたが、いやいやまったくもって白旗である。 幸いここはパンダの里・臥龍。標高も高く、空気もうっすら冷たいぐらいの山奥。もちろん周りは緑一色でとても静か。夕方(16時)近くになっていたが、パンダが元気に走り回っている姿も見ることができた。山の斜面をそのまま飼育場として使っているので、とても自然に近い形でパンダが育っている。大やら小やら結構様々。 また、ここではパンダの里親(名付け親)にもなれるようで、その方々の名前がたくさん貼られている。特に目立つのが日本人女性の名前。いやいや、こんな所まで来るとは恐れ入る。ちなみに大枚をはたけばパンダと一緒に写真を撮る事もできるようだ。 ちなみに、園内にあるお土産やでパンダのぬいぐるみを買ってしまった(45元)。人に頼まれていたのだが、まだ旅は20日以上もあるのにこんなかさばる物買ってしまって。。やはりパンダってすごいかも。
さて、年甲斐も無くパンダなどに心を奪われてしまったのはいいが、これからどうするか。 当初、臥龍パンダ基地に宿泊でもいいと考えていたのだが、宿泊できる場所などなかった。仕方が無いので入口前でバスか何かが来るのを待つ事にした。 ・・とは言え、ここにバス停など無く、というよりはただの山道。こんな所を通るバスなどこの夕方にあるのだろうか。 はて、どうしたものか。幸いいつでも「何とかなるさ」と気軽に考える性格だったのでそれほど心配しなかったのだが、日も暮れかかっていたので少し悩んだ。最悪、寝袋があるのでチケット売り場の中で1泊停めてもらうか、それとも土産物売りのおばちゃんの家にでも世話になるか、などと考えていたところ、目の前に一台の車が止まった。 「臥龍まで25元でどうだ?」 臥龍までの距離が分からないので、この価格が高いのかどうか分からない。ただ言い値なので割高なのは間違いないだろう。初めは断ったが、その後しばらくしても車が一台も通らないので結局25元で妥協することにした。 車の中では断っているのに、いろいろな勧誘をしてくる。こういう場合は、下手に中国人の振りをしない方がいいようだ。 30分後、臥龍の街に到着。「街」、というよりはただの「通り」だった。山間の集落という表現でもいいかもしれない。ドライバーに何度も聞き返してしまったぐらいだ。でも不思議な事に「臥龍山荘」というそれはそれは立派なホテルがある。宿泊費は数百元もするそうだ。日本語が多く書かれていたので、やはり日本人が泊まるのか。
また少し歩いて見て気付いたのだが、パンダ博物館などというこれまた山奥に不似合いな建物も建っている。興味が無かったので入らなかったが、これも世界遺産効果か。 安宿街はその臥龍山荘から上に上がった場所にある。適当な宿にチェックインし、通りを歩いてみる。土産物屋などに少数民族の衣装を来た人達が多く目に付いた。普通に野菜などを売っているので、生活圏内なのだろう。 ちなみにこの辺りから食事をする時は、奥の食材の置いてある調理場に連れて行かれ、 「さあ、何を食べる?」 と聞かれる。正直これには困った。何が作れるのか、何が食べられるのかよく分からない。仕方ないので安そうな野菜を指差して待っていると、それなりのおかずとなって出てきた。さすが中国。
明日は四姑娘山。臥龍にはバスターミナルがないので、9時頃安宿街で明日通るバスを待ってろとの事。結構寒く、そして静かな臥龍の夜が眠気を誘う。
3.晴れない四姑娘山と成都の街 Homeにもどる |