TOP世界遺産世界の紙幣世界のゲストハウス旅の持ち物食べ物いろいろ旅の場所ベスト10コラム国紹介リンク

2007年12月1日〜2日
From Phayao
パータン 〜第二のプーチーファー〜

パータン地図




ここ最近、北タイで密かに名を馳せるようになって来た場所がある。
「パータン」、第二のプーチーファーと呼ばれる場所だ。プーチーファーとはタイ好きな人なら知っているかもしれないが、タイで美しい雲海が見られる場所のことである。北タイ・チェンライ県とラオスとの国境に位置し、断崖絶壁から眺める雲海はよく写真で見かける。

そのプーチーファーに勝るとも劣らない雲海が見られる場所がもう一箇所ある、それがパータンだと言うのだ。プーチーファーに近く、同じく断崖絶壁でラオスとの国境にあるらしい。
と言う訳で12月の週末、早速出掛けることにした。


プーチーファーもそうだが、パータンへのアクセスも非常に悪い。
パータンの場所はプーチーファーから北上する事約24kmほどの場所にあるのだが、公共交通機関で行くのはかなりの難儀である。時間を掛ければ辿り着く事は不可能ではないが、レンタカーを使った方が遥かに便利である。バイク好きにはツーリングもいいだろう。途中の景色もなかなか。アクセスが悪いのは、乾季限定の観光地の為仕方がない。

北タイにあるパヤオ県を10時に出発。途中トゥーンを通過し、プーチーファーへ向かって車を走らせる。幸いプーチーファーは有名観光地である為、そこら中に案内の看板が出ている。パータンへ行くにはまずプーチーファーを目指せばいい。
プーチーファーに近づくに高度が上がるので、気温も随分と下がり始める(約15度)。車外から入ってくる風がひんやりと冷たい。そしてこの辺りの景色が良いのも特徴だ。


臨時の橋 落ちた橋
臨時の橋 下には崩れた橋が見える・・
午後1時、プーチーファーに到着。
しかし今回の目的はここではないので、そのまま通過する。既にプーチーファー周辺には多くの車や人で賑わっていた。
少しだがパータンと書かれた標識も見える。約24km。山道でのこの距離は結構ある。

しばらく走り出してとある橋にかかった。結構刺激的な橋である。
もともとコンクリートの橋が架かっていたのだが、崩れ落ちたようで鉄の臨時の橋が架けられている。隙間からは崩れ落ちた橋が見える。車で通るとキシキシ音がするのも何とも刺激的である。
こんな臨時の橋、いつまで架けておくのだろうか。。さすがタイ。
パータン周辺図

午後1時30分、ようやくパータンに到着。
村と言うよりは数本の通りがある程度の場所である。「Phatang Hill」という宿から雲南料理を出す「城土餐廰」とその先の三叉路付近、そして「Phaatang view point」という標識が急坂にあるのだが、そこから先のコーヒーショップぐらいまでが主な行動範囲になる。要するにむちゃくちゃ狭いということだ。

ちなみにパータンは中国人村であり、少しだが雲南料理が食べられるし、中国語も村人の間では普通に話されている。メーサロンなどと同様、中国共産党から逃れてきた人々が住み着いた村なのである。


Patang Hillはすでに満室だったので、坂を上った場所にある梅花旅社にチェックイン。仕方がないのだが、1泊500B(約1600円)。べらぼうに高い。乾季限定だし、仕方ないのだが。。

雲南料理?
雲南料理?
まだ食事をしていなかったので、唯一まともな食堂っぽい「城土餐廰」に入った。メニューにはタイ語と中国語で書かれていて、品目はもの凄く少ないのだが、雲南料理を注文した。
適当に頼んだ品が左の写真。
左端のスープは「酸湯(50B)」、酸っぱくて不味い。左下の料理は「雲南番腸(120B)」、ソーセージの揚げたもの。味はまあまあ。そして中央上のスープ「雲南猪脚」と右「マントウ」(合わせて200B)、これは美味かった。

特にマントウは本場中国の物より美味しい。柔らかくてほんのり甘い。マントウだけでも十分食べられる味だ。そして他の料理と一緒に食べる事で、肉まんのようになる。ちょっと値段は高いが、マントウは美味い。(マントウのみは10B)


お腹もふくれたので唯一の観光地のViewPointに行って見ることにした。
場所は宿泊している梅花旅社をさらに先に進んだ場所にある。道は結構急なのだが、現在かなりの拡張工事が行われていて近い将来には立派な道路になるはず。観光地として本格的に売り出すようだ。

しばらくして駐車場に到着。手前には出店もあるが、どれもしょぼい。まだまだのようだ。
車を降りる冷たい空気が体を包んだ。日差しは強いが、風は冷たい。夜は冷えるだろうなと思う。歩き出すとすぐに子供が数人寄ってきた。自己紹介を始める。すぐに断る。間違いなく一緒に付いて来てガイドを始めるだろう。悪いが観光地でこのようなパターンで決していい思いをした事がない。それに自分のペースでゆっくりと見学したかった。


中華風の休憩所 こんな道を歩きます
ViewPointに向かって丘を登り始る。
すぐに中国風の建物が目に入った。休憩所のようだ。標高も高いのか知らないが、少し坂を上るだけですぐに息が上がり始める。気持ちは若いのだが、ああ、情けない。。

辿り着いた休憩所からその先の景色を眺める。思わず声が出た。
予想もしなかった景色がそこに広がっていた。崖の下はラオス領なのだが、その先にはメコン河が大らかに横たわっている。そして雄大な山々。昼間の景色ならプーチーファーよりこちらの方が上だ。

よくよく先を見ると、さらに丘があり登れるようだ。かなり距離はありそうだが、登る事にした。何よりあの丘から見る景色がどんなものか楽しみなのだ。
切り立った岩々をくぐりぬけ、壁のような丘を登るとそこには言葉では表せないような景色が広がっていた。


ViewPointからの風景
ViewPointからの景色

「ああ、素晴らしい。。」
思わず声が出る。ぜいぜいと息を切らした体に、麓から吹きつける風も心地よい。
山々の眺めだけでも十分美しいのに、メコン河が何とも良いアクセントをつけてくれる。ここに明日、一面の雲海が広がるのか?そう思うだけで興奮してしまった。
ちなみに右端に見えている少しとがった部分。あれがパータンの名の由来である。「パー」は岩、「タン」は立つ。パータンとは切り立った岩の意味である。写真では小さく見えるが、実際には中々大きなものであった。


チョンパーカー(ト) タイ−ラオス岩戸国境
チョンパーカー(ト) タイ−ラオス岩戸国境
ViewPointの付近にはこの他にも幾つかの見所がある。
まず「チョンパーカー(ト)」、訳すと「岩の裂けた場所」。その名の通り連なった岩の裂け目からラオス領を眺める事ができる。パータンの一部のパンフレットにはここから望む雲海の写真が掲載されている。

そして、入口すぐそばにある「岩戸国境」。ここは裂け目と言うよりは穴という表現の方がいい。まるで小さな洞窟のようである。近くには「プラトゥー・サイアム&ラオス(タイとラオスの扉)」とありここが国境だと示してあり、実際以前はこの小さな穴をくぐってラオス人がタイ側にやって来ていたらしい。ここは崖の傾斜が緩いとは言え、ここまで登ってくるのは大変だろうと思う。今は残念ながら竹や鉄線で行き来できないようになっている。個人的にはこういう国境が旅人に解放されればかなり面白いのだと思うのだが。。危ないか。


一度ゲストハウスに戻り、再び散策へ。
しかし本当に何もない。宿に併設されている食堂もドアは開いているが誰もいないし、町(通り?)にもお土産やもなければ時間を潰す場所もない。本当に田舎の村だ。ただ、所々に見える漢字が中国人村の雰囲気を出している。残念ながら餃子や本格的な中華料理はないようだが、タイの中だとお思えば十分だろう。

コーヒーショップ
コーヒーショップ
まるで梅酒のよう
白ワイン
夕暮れが近づいてきたが、まだ時間もあるのでゲストハウスの前にある「コーヒー」と書かれた店に行ってみる。自家製のコーヒーを飲ませてくれるようだ。イチゴの苗も売っている。そういえばパータンはイチゴの栽培でも有名らしい。先に寄ったPatang Hillでもイチゴを販売していた。

コーヒーショップのお姉さんが出てくる。少し話をしたのだが、すごくいい人だ。イチゴを食べろとか、ワインを飲んで行けとか色々出してくれる。そしてここで飲んだ白ワインがすごく美味しくて、思わず2本も買ってしまった。甘くてフルーティーで口当たりが良く、飲みやすい。梅から作られているようだ。(200B/1本)


日が暮れると一気に気温が下がる。持参した温度計では8度を示している。山の上でもあり風も強くかなり冷える。ゲストハウス内にはもちろん温暖器具もなく、布団に包まるしかない。幸いホットシャワーがガス式なので暖かい湯が使えるのは嬉しい。
星が綺麗な静かな山の村に闇夜が降りてゆく。





前日は9時に寝たので、午前4時半起床もそれ程苦にはならなかった。
ただ寒さは苦になる。室内でも外の寒さが伝わるようだ。車で真っ暗な夜道を走る。午前5時過ぎ、駐車場に到着。既に小学生ぐらいの子供や幾つかの店は開いていた。空を見上げるとまだ星が燦々と輝いている。

前日に登った丘の道を再び歩く。
真っ暗の闇の中、月明かりを頼りに歩く。懐中電灯を忘れてしまったのだ。時々月明かりに照らされたラオス側の雲海が見える。美しい。はやる気持ちを抑えつつViewPointへ急ぐ。


午前5時半。ViewPointへ到着。思わず息を呑む。
予想より大きな雲海が一面に広がっていた。前日に見たメコン河と手前の森の上に広大な雲海が広がる。この時点では三脚での撮影しか写真が撮れなかったが、明るくなる6時ごろには赤みを帯びた美しい風景となった。


パータンの雲海
パータンの雲海


この頃にはそれなりに人も増えてきて賑やかになった。
6時半には美しい御来光を拝む事もできた。雲海に日の出とはよく合うものだ。
日が昇ってもしばらくは雲海が残っている。よく見ていると、雲海は少しずつ動いているようだ。近くにいた子供が「海だ」と叫んでいる。この広大な景色は、まさに「海」だと思う。


御来光 パータン(切り立った岩)と雲海
御来光 パータン(切り立った岩)と雲海


7時半になると再び誰もいなくなった。
まだ雲海は続いているのだが、明るすぎて写真には上手く写らない。白く明るい被写体は苦手のようだ。肉眼では白い雲海が金色に輝いてみるのだが。。

PatangHillでの朝食
PatangHillでの朝食
最後まで雲海を堪能した後、朝食を探しにゲストハウス近くまで戻った。
と言っても、選ぶほど店もないので昨日満室だったPatangHillで食事をすることにした。中華風の朝食を期待していたのだがそんな物はないとの事で、仕方なく揚げマントウとコーヒー、イチゴを注文。結果的にこれが大正解だった。

マントウはそのまま食べても美味しいのだが、揚げると中がもちもちの揚げパンみたいになった。そのまま食べてもほんのり甘くて美味しい。そしてイチゴ。目の前でイチゴを栽培していて、摘み立てのイチゴを楽しめる。
美しい風景に、美味しい朝食。麓から吹き付けるほんのり冷たい風が心地よい。山好きには至福の時間である。(80B)

帰りにイチゴを購入。昨日もそうだったが、ここでもイチゴを食べろ食べろと差し出してくれる。料金支払い時にも幾つか食べさせてもらった。



宿をチェックアウト後、再びコーヒーショップを訪れる。
今度はコーヒーを飲んで行けと勧められる。さっき飲んだばかりだったので迷ったが、迷っているうちに小さなグラスにコーヒーが注がれていた。嫌いではないので一口。
「うまい。。」
自分で栽培しているアラビカと言うコーヒーだそうだ。香りが良くて、深い味がする。イチゴにワイン、そしてコーヒーと美味しい物がたくさんある場所である。

帰りには興味を示していた竹をいくつか貰った。
直径が20cmもあるような大きな竹である。近くで栽培しているようで売って欲しいというと、幾つかただでくれた。何といい人達だろうか。


1泊2日ですっかり皆と顔見知りになってしまったパータン。アクセスは非常に悪いが、まだ擦れていない分中々居心地が良い場所である。山の上なので物価が少し高いが、それでも気分転換に時々出かけるにはお勧めの場所である。
1月中旬にはタイ桜が咲き誇るとのこと。
確かに桜らしき木が随所に見られる。濃いピンクの花をつける桜が満開になったら、それはそれでまた違った美しさだろう。是非訪れてみたい気がするが、宿泊施設が非常に少ないので予約なしでは少々怖い。タイ人のようにテントで寝るのもあの寒さを想像すると。。

1つ5Bのキャベツ
1つ5Bのキャベツ
帰り道、プーチーファー付近ではたくさんのキャベツを栽培している。
収穫しているところで車を停めて値段を聞いてみると1つ5B(約16円)とのこと。10B玉しかなかたので2つ購入。
でかい。。

こんなに食えるのか、と思ったが。外の皮を剥くと美しい黄緑のキャベツが出てきた。新鮮なキャベツ、採れ立てのイチゴ、そして白ワインは最近毎晩の晩酌となっている。


時間があれば、プーチーファー1泊、そしてパータン1泊というコースを組めば思う存分雲海を楽しめる旅になりそうだ。山好き、雲海好きには是非訪れて欲しい場所である。


データ
移動: パヤオ県から約140km、車で3時間30分。公共交通機関での訪問はかなり難しい。レンタカーがベスト。プーチーファーからさらに北上する事約24km、30分程度。
宿泊: 中心地には2,3軒の宿があるが、数は非常に少ない。車で少し走ると幾つか他の宿を見つけることができるが、週末に訪れる場合は予約をした方がいい。値段はどこも500B以上と割高。
梅花旅社500B(言い値はは600B) 087−1918808
○PatangHillResort 600B(名前負けしている、、ゲストハウスレベル) 087−1915037

また、駐車場でテントを張ることもできるが、寝袋は必ず必要。
食事: 一部雲南料理が食べられる。食堂の数が少ないので限られてしまうが、マントウはお勧め。他にイチゴの栽培が盛んで、タイでは珍しく大きくて甘いイチゴが食べられる(1kg180B)。他にもワインやアラビカコーヒー、干し果物など名産がある。
その他: ハイシーズン(12月から2月頃まで)は冷え込みが厳しい。昼間で15度前後。夜は8度まで下がり、雲海を眺める山の上では6度しかなかった。しかもかなり風が吹き付けているので、体感温度はそれ以下となる。ウインドブレーカーやセーターはもちろん、できるだけ暖かい服装で出かけた方がいい。ちなみにパータンの標高は1650m。
>パータンの紹介






Homeにもどる