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2004年11月19日〜20日
From Bangkok









2連休が取れた。通常バンコクでの2連休程度ならば、部屋でゴロゴロして過ごすのだが、「旅に出たい病」の波がやって来ていた為、どこかに出かける事にした。ぱらぱらぱらとガイドブックを見ていると目についたのが、

「タイのアンコールワットとも言われる代表的クメール遺跡・ピマーイ」
これにした。


早速、翌日早朝バンコクにある北バスターミナル(モーチット・ソーン)からピマーイの近くにある都市ナコーン・ラーチャシーマー(コラート)行きのバスに乗る。4時間後、コラートのバスターミナルに到着。実はここコラートはイサーン(タイ東北部)の入り口なのである。
東北部といってもコラートはタイの真ん中ぐらいに位置しているし、街自体はかなり大きい。しかし聞こえてくる言葉などはやはりイサーン訛りのタイ語である。1泊2日の旅なので、すぐに目的のピマーイへ向かう。到着したバスターミナルからではバスが出ていない為、ソンテウ(トラックを改造した乗合タクシー)で移動。バスターミナルの係員のおばちゃんがすごく丁寧に行き方を教えてくれた。バンコクでは経験のない事である。1回目の驚き。


ピマーイ行きバスターミナル(コラート第二バスターミナル/写真右上)は結構外れにあった。新しい為かでかい。41番がピマーイ行きらしく25Bを払い、ここから約1時間の旅である。予想以上にバスは順調に進み、14時頃にはピマーイに到着できた。
途中ピマーイの街の中をバスは走るのだが、窓から少しずつ見えてくる遺跡の城壁などにはとても心が躍る。One Day Tripだが、旅情に浸れる瞬間である。


街の中心らしきところで下車。少し歩くとピマーイ遺跡が見えてきた。
見学はゆっくりするとして、まずは宿探し。ほとんどまともな宿はないが、遺跡から歩いて10分ほどの所にあるその名も「ピマーイ」というホテルに宿泊した(400B/1泊)。
街自体はほとんど何もない。ピマーイ遺跡から伸びる通りに少々レストランがちらほら、そして小さなスーパーがある程度だ。昼食もとらずに真っ直ぐ遺跡に向かう。

ピマーイ遺跡。
タイの東北部にはたくさんのクメール遺跡が点在している。その中でも特に重要なのがこのピマーイ遺跡。その姿はカンボジアのアンコールワットを彷彿させる。詳しい事は分かっていないとの事だが、約1000年前に建てられたとの説が有力らしい。一説ではそのアンコールワットのモデルになったかもしれないという。いずれにせよ高度な文化を築いていたクメール人の栄華をうかがえる遺跡である。

早速入場料40Bを払い、遺跡公園へ。遺跡や公園自体はそれ程大きくはないのだが、やはり歴史遺産に入る前は胸が高鳴る。独特の昂揚感がある。タイ芸術局によって綺麗に修復されたピマーイ遺跡の印象は、やはり小さなアンコールワットという感じがする。しかし、正面のナーガ像やクメール特有の繊細な彫刻などはやはり素晴らしい。ヒンドゥー教の神々など見ていても飽きないものばかりである。今では見当たらないが、バライ(貯水地)や神殿などもあったかもしれない等と想像してみると、それだけでクメールの世界に浸れるようである。(国立博物館の前の池がバライかもしれないとの事だが。。)
(写真左:ピマーイ遺跡とその彫刻)


ピマーイ遺跡を堪能した後、遅めの昼食をとった。その後、ベンガル菩提樹がある公園などに行ったりしていると陽も傾きだした。

暗くなるまでは街の南にある勝利の門(プラトゥー・チャイ)がある土手でぼんやりしていた。学校帰りの子供達や散歩する老人などそこから見た風景はなんとものどかなものだった。子供達は土手を滑って遊んでいる。服が真っ黒になって遊んでいる。隣接するお寺からは子犬と母犬が同じく土手に来て追いかけっこをしている。それをさらにお寺の小僧が追いかける。懐かしい感じがした。





翌日。すでに今日中にはバンコクに帰らなければならない。
ピマーイ遺跡に別れを告げ、コラートに戻る途中、同じくクメール遺跡であるパノム・ワン遺跡に寄る事にした。
全く行き方が分からなかったのだが、大きな道路を走っている途中で「ここだ」と言われてたのでバスを降りる事にした。どうもそこから伸びる通りの先にパノム・ワン遺跡があるらしい。よく分からなかったがしばらくバスが来るのを待つことにした。1時間ほど待ってようやく大きなソンテウがやって来た。早速乗り込む。そこにはたくさんの野菜を手にした3人のおばあさんらが座っていた。
「あんた、どこ行くの?」

かなり訛ったタイ語である。
「パノム・ワンです」

発音に自信がなかったが、どうやら通じたらしい。
「この車じゃ行かないよ。分かれ道で降りなさい」

・・・みたいな事を言っている。乗り換えが必要なようだ。おばあさん達は自分の顔を見ては笑いながら雑談している。10分ぐらい走るとソンテウが停まった。降りようとすると、隣に座っていたおばあさんがミネラルウォーターを差し出し「持ってゆけ」と手渡された。そして分かれ道を指差し、あちらに行けと言っている。「ありがとう」とお礼を言ってお金(ソンテウ代金)を払おうとすると、おばあさんらは「要らない」と言い、そのままソンテウは出発してしまった。2回目の驚き。


近くのお菓子屋で再度、遺跡の場所を尋ねた。今度は若い兄ちゃんである。
「あっちだ」

と指差して教えてくれた。お礼を言って歩き出そうとすると、「バイクに乗って行けよ」との事。自然とその言葉に甘える事にした。広い田んぼの中の道を走り、15分ぐらいで遺跡に着いたのだが、到着して「ここが遺跡だ」と言って兄ちゃんは立ち去ってしまった。3回目の驚き。

パノム・ワン遺跡はピマーイより更に小さくしたクメール遺跡である。全くもって不明点だらけなのだが、かろうじてその建築方法などからクメール遺跡だと判別できる。修復も多少されているが、やはりピマーイ遺跡程ではない。いい表現ではないがアンコールワット付近にあったら、全く無名の遺跡にされていたかもしれない。入場無料。 (写真左:パノム・ワン遺跡)


時間も迫っていたので帰る事にした。
・・・が、こんな誰もいない場所からバスなど出てはいない。仕方ないので歩く事にした。幸い天気も良く、気持ち良かったので田舎の田園風景を楽しみながらしばらく歩いた。途中、後ろからやって来た一台の車が横に停まった。
「どこ行くの?」

若い兄ちゃんが窓を開けて尋ねる。
「バンコクに行きます」
「大通りまで乗ってく?」

またも自然と乗車していた。後で考えれば少々軽率な行動だったかもしれないが、ここイサーンの地では何故だか全く警戒をしなくなっていた。先にバスで降りた大通りまで戻ってきた。「じゃあねー」若い兄ちゃんは走り去っていった。3度目の驚きである。


はっきり書いてしまうとクメール最大の遺跡であるアンコールワットを見てしまうと、その他のクメール遺跡では感動はほとんどない。ピマーイ遺跡もなかなかの遺跡だが、やはり前者とは比較にならない。もう少しクメールの勉強をした方がいいかなとも思うが、なかなかそれも難しい。

しかし今回の滞在で嬉しかったのは、イサーン人に触れる事ができた事である。旅行者や外国人の数が少ない為、ここはまだ独特の雰囲気が残っている。北タイとはまた違う。今回出合った人達は、皆とてもいい人ばかりであった。得体の知れない外国人旅行者にも、分け隔てなく優しくしてくれる。心が癒された感じがした。ちゃんと時間を作ってイサーンを旅してみるのもいいかもしれないと思う。


夜、バンコクに到着したのだが、たくさんのネオンの下トゥクトゥクの運転手などから「ハロー」とか声を掛けられると、まるで違う国に来たような感じがした。明日からまた仕事だ。


データ
※バンコク−コラートへのバス:バンコク北バスターミナルから20〜30分おきに出発(3〜4時間、150B程度)
※コラートからピマーイへのバス:コラート北の第二バスターミナルから1時間に数本(41番乗り場から約1時間25B)

※入場料:ピマーイ遺跡40B、パノムワン遺跡無料





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