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1999年9月9日〜12日
From Chiangrai
メーホンソン




ワット・マハワン
ワット・マハワン(チェンマイ)
タイ北部の街チェンライに来て数カ月、日本から友人が遊びに来たので休暇を使ってメーホンソンへ行く事にした。
メーホンソンはミャンマーとの国境が近い街で、チェンマイからもアクセスが大変なので意外と穴場の場所である。観光の目玉はカレン族(首長族)である。鉄の輪を首に巻き付けた少数民族である。一度訪れてみたいと思っていたので、いい機会である。


チェンライからまずバスでチェンマイまで行く。チェンマイからはバスでは7〜8時間も掛かる。タイの奥地だ。
今回は仕事の合間を縫ってきているので、チェンマイからメーホンソンまでは飛行機を使うことにした。時間の節約なので仕方がない。
チェンマイからは僅か30分程度のフライト。すぐにメーホンソンの小さな飛行場に到着した。
空港から市内は近い。歩いて行ける距離である。すぐに街中に向かう。

街と言ってもとても小さな街だ。
少し歩けばすぐに全体が分かってしまう程度のものだ。街を歩いていると幾つかの旅行代理店があった。そこにはカレン族ツアーの表示も多い。数軒当たって1,600バーツ/人の一泊二日のツアーに申し込んだ。普通カレン族の村までは日帰りが多い。ただし偶然入ったこの店では、オーナーがカレン族と仲が良いらしく宿泊のツアーもできるとのことだ。これは嬉しい。





申込をするとすぐにツアーが開始された。
同行者には数名の日本人がいる。ほぼ同世代の人達のようだ。車はチェンマイの街中で一度止まり、「カレン族へのおみやげ」を買いだした。買っているのはミルクや簡単な食糧。なるほど、こういった心遣いも必要なのかと思う。
車はやがて山の中に入り、荒れた道を走ると、やがてある集落の近くで止まった。外部の侵入を防ぐかのような柵が印象的だ。どうやらここがカレン族の村のようだ。


橋を渡る カレン族の村 木の家が多い
橋を渡る カレン族の村 木の家が多い


入村するには何故か入村料が必要のようだった。やはり観光地化されているのだろうか。
村は至って普通の風景だ。北タイの山の中にある山の村。木々でできた家に、踏み慣らされた地面、鶏が走り、南国らしく緑も多い。ただ違っているのがただひとつ。カレン族の人達だ。


カレン族の娘
カレン族の娘


なるほど、確かに首が長くなっている。
女性だけなのだが、肩からあごの下までに金色の真鍮の輪が重なるようにつけられている。これは珍しい。中年のおばさんから女の子供まで至る所で「長い首」を見ることができる。
どうしてこのように首を長くするようになったのかは分からないそうだが、年齢を重ねるごとに順に輪を足していくらしい。


最初はやはりどうしても首に目が行ってしまう。僅かながらタイ語を話す事が出来たので、彼らももちろん母国語ではないタイ語だが、簡単な意思疎通はできた。そして話をしていると、実に普通の人(当たり前なのだが)なのだと思えて来た。
「首長族を見る」などと観光気分であったが、話をしているうちにだんだん居心地の良い場所に、観光地ではないような場所に感じて来た。

到着したのが既に午後だったので、もうだんだん日が暮れてきている。
カレン族のみんなで川に水浴び(シャワー代わりね)に行くというので、同行させてもらった。

着いてびっくり。
この水か!ってぐらい茶色い水であった。こちらも結構汗をかいていたので、一緒になってシャワーを浴びた。まあ慣れれば大丈夫だろう。
カレン族の人達は水浴びはもちろん、洗髪や洗濯、首にある真鍮の輪の掃除までしている。生活の一部なのだと思わされた。

水浴び 洗濯もする 髪を乾かすカレン族
水浴び 洗濯もする 髪を乾かすカレン族



水浴びから戻ると食事となった。
もちろんこの村には電気などない。すべてロウソクだ。大き目の家に皆が入り、白米と簡単な野菜炒めを出してくれた。普段はどのようなものを食べているかは分からないが、この程度の物を食べているのならば普通のタイ人と変わらないだろう。

食事の後は、外に出てカレン族の人達が踊りを披露してくれた。男性が簡素な楽器を慣らしながら、女性が踊る。すごい踊りではないが、こういうのも悪くない。ただ観光客用にやっているのか、それとも民族舞踊なのか、それは分からなかった。
一通り踊りが終わると、宿泊者側から「おみやげ」の配布が始まった。


夕食 カレン族の踊り 暗闇で踊る
夕食 カレン族の踊り 暗闇で踊る


買ってきたミルクやビスケットなどを、まず子供からあげてゆく。みんな嬉しそうに貰う。なるほど。このタイミングで渡すのはばっちりのようだ。ちょうどこちらも何かお礼がしたいと思っていた頃だったのだ。
電気も水道もないカレン族の村。夜の静かさはそれはすごいものである。真っ暗で音のない世界の中で眠りに着く。


一晩明けると、随分とカレン族の中にも仲の良い人も出来てくる。子供なんかはすぐになつく。これはどこでも同じかな。ただやはりカタコトだがタイ語が出来たのは良かった。ちょっとした話もできる。カレン族の女の子とも数名仲良くなった。仲良くなり始めると、性格も分かって来る。好奇心旺盛でおてんばな娘、人形のように反応の少ない娘などなど。

朝食はおかゆ。美味しくはなかったが、問題はない。
食後は村の散歩に出る。昨日は気付かなかったが、学校があるようだ。今日は授業があるらしい。と言っても校舎も木でできた簡素なもの。教育が受けられるだけ良いか。

大人は、特に女性は織物に精を出している。自分たちの衣装であると同時に、おみやげにもなる。貴重な収入源であろう。
仲良くなった村の娘に、彼女らの化粧をして貰った。白い粉を顔に塗るだけだが、とても丁寧に塗ってもらった。そして観光客用の真鍮の輪(大き目のもの)を首に載せて貰う。予想よりもずっと重かった。これだけ重いものだと、かなり大変だと思う。
観光客に慣れているのかな、それともタイ語ができたので良かったのかな、どちらにしろとても良くもてなして貰った。


おてんば娘 布を織る女性 学校
おてんば娘 布を織る女性 学校



一泊のツアーが無事終了した。
再びメーホンソンに戻ってきた。と言っても、今回の目的はカレン族(首長族)であったため、もうすることもない。まあ、でも時間があるのでメーホンソン観光に行くことにした。

まず行ってみたのが、メーホンソンを一望できるという標高424mのコン・ムー山。低い山なので市内から歩いて行ける。階段を登りきると山頂にお寺もある。
ちょっと天気は悪かったが、山の風景と、小さな空港がよく見渡せる。気持ちの良い場所だ。


市内ではやはりワット・チョーン・カムとチョーン・クラーンに行ってみた。市内にあるチョーンカム湖のほとりにある寺院だ。ミャンマー式なのが面白い。天気が悪いせいか人はほとんどいなかった。

その後市場などを散策してゲストハウスに戻る。
しかしメーホンソンには虫が多い。ゲストハウスの中にも結構いる。食べかけや飲みかけの物を置いておくと、すぐに何か寄って来る。油断はできない。まだ雨期だ。


コン・ムー山から市内を眺める ワット・チョーン・カムとチョーン・クラーン 市場
コン・ムー山から市内を眺める ワット・チョーン・カムとチョーン・クラーン 市場



翌日、メーホンソンの空港からチェンマイに戻る。
カレン族の村に宿泊という、ちょっと貴重な経験をさせてもらった。純粋に楽しかった。



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