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でも正直なところ、本当に体を休めたいのなら、どこにも行かず家で寝転がってテレビでも見ているのが一番だろうと思う。暑い中の移動や、面倒な交渉、大きな出費などは肉体的にも、精神的にも疲れる。 では何故それでも出掛けるのか。綺麗な景色を見ること、美味しい料理を食べることもそうだが、何より「南の島に行って来た」、「綺麗なビーチで泳いで来た」という事実を後から思い出せることで、優雅な休暇を取った気分に浸ることができる。実はこれが1番の休養なのかもしれない。でも何だかジジ臭いな。。 今回もバンコクからの出発である。ちなみにサメット島とはバンコクの南東、バスで3時間ほどの街・ラヨーンの沖合いに浮かぶ島の事である。白人旅行者はもちろん、バンコクから近い為週末となるとタイの若者や学生などで賑わう。そして、何と言っても白い砂に青い海。もちろんタイの秘島には敵わないが、バンコクからのお手軽ビーチとしては十分のレベルである。そんな訳で以前から気になっていたこの島に行く事にした。 それにしても5月のバンコクは蒸し暑い。ちょっと歩くだけで汗が吹き出てくる。重いバックパックを背負っていると(実は四川旅行の帰り・・)、額に、背中に汗が流れてゆくのが感じられる。東バスターミナル(エカマイ)のベンチに座っているのだが、汗が収まらない。周りにいる人も暑そうだ。それでも今日は土曜日の為か、昼頃なのにバスターミナルは結構な人で賑わっている。 12時45分のラヨーン行きのチケットを購入。バスは満席になったところで出発した。 バスが出るとすぐに寝てしまった。時々窓から強い日差しが入ってくるが、それでも寝てしまった。気が付くと16時近い。3時間近く寝ていたようだ。 初日はサメット島には向かわず、ラヨーン市内に宿泊する事にした。理由はない。ただ泊まってみたかっただけである。16時30分、ラヨーンのバスターミナルに着く。ああ、ここも暑い。涼しい車内を降りると、むわっとした空気が体を包む。すぐに汗が噴出してきた。 時間も時間なのでまずは宿探し。バスターミナル付近にあると思っていたのだが、まったく見当たらない。あまりラヨーン市内に泊まる旅行者はいないのだろうか。結局散々探し回った末、歩いて20分ほどの場所に宿を見つけた。
ちょっと下品な話になるが、実は下痢がひどい。四川の終わりの方から腹の調子を崩し、タイに戻ってきてから悪化した。という訳で、今夜の夕食はおかゆ。サメット島に渡ったら一応シーフードを食べるつもりでいたが、大丈夫だろうか。。ちょっと心配。 ラヨーンは特に見る所もないようだし、何より腹が痛いので夕食後宿に帰って休む事にした。 ラヨーンのバスターミナルからサメット行きの船が出るバーンぺーまでは、20Bで行くことができる。かなり大きなソンテウ(乗り合いトラック)を利用。30分後、賑やかな場所に着いたと思ったら、そこがバーンぺーだった。 基本的には一本の通りからなっているが、セブンイレブンやお土産屋、そして結構なゲストハウスが並んでいる。昨夜はここに宿泊しても良かったなと思う。 セブンイレブンでサメット滞在中の食料品(お菓子や飲み物など)を買い込み、向かいにあるピアから船に乗る。しきりに往復のチケットを勧められるが、先にお金を払うのは危険なので片道のみとする(50B)。 ピアを出てすぐに海の色が緑色に変わった。水が綺麗な証拠だ。 30分ちょっとでサメット島に着いたのだが、かなり大きな島のようで、あまり「島」という感じがしない。それにサメット島のピア・ナダン港にはセブンイレブンやBarなどがあり予想していた以上に便利な場所のようだ。
サメット島の中で一番賑やかなビーチ、サイケーオビーチまでソンテウに乗って行く。人が集まるまで待って出発したのだが、走り出して5分で着いてしまった。10Bだった理由が分かる。一緒に乗っていたタイ人もちょっと驚いている。これなら歩いてでも来れそうだ。 ちなみにサイケーオビーチに入る前に、国立公園管理事務所で止まり入域料を払わなければならない。なんと外国人は400B(タイ人は40B)。べらぼうに高い値段である。国立公園維持費らしい。無論これがちゃんと使われていれば気持ちよく払うべきだろうが、のちにゴミが目立つビーチを見てからはこの金の使い道に疑問を感じるようになった。 到着が日曜日だったので、帰る人は多いが宿泊する人は少なく、宿はどこも空きがある状態だった。まだ勝手が分からなかったので、ビーチ沿いのゲストハウスを片っ端からあたることにした。 貧乏パッカーとは言え、ビーチではさすがに少しは贅沢をしたかったので、宿の予算はテレビ、冷蔵庫、エアコンを最低条件として1000Bちょいとしていた。案の定1000B前後がほとんどで、その中のビラタイプの宿(1200B)を初日の宿とした。
早速ビーチへ。さすがに水が綺麗である。海岸から、白、薄い緑、緑、青、そして紺色へと色が変わっているのが分かる。ビーチの砂もさらさらの白い上物。裸足で歩くのがなんとも気持ちがいい。 近くにあったイスへ。ジュースと果物を頼む。2つで90B(約270円)と異様に高いが、それはビーチだから仕方ないだろう。やはり物価は全体的に高い。 周りにはたくさんの白人が同じように座っている。イスに寝転がりながら本を読む者や、マッサージを受ける者、たくさんの仲間とビールを飲む者、様々である。予想はしていたが、タイ人がほとんどいない。まあ、明日から平日になるのだからいる方が不思議だが。。それにしてもこれだけ白人に囲まれていると、一瞬どこか違う国にいるような錯覚に陥る。
貧乏パッカーだが、一応水着を持っていたので水に浸かる事にした。遠浅で、暖かい水だ。風があるので少し波立っているが、水に浮いているだけで気持ちがいい。もちろん透明な水に、さらさらの砂が続く。 夕方近く一度宿に戻り休憩を取って、再び夕食の為にビーチにやって来た。 後から知ったのだが、15時頃になるとビーチにゴザを敷き始め、そこに机やタイの三角枕等を並べ夕食を食べられるようになる。波音を聞きながら食事ができる訳だ。運が良ければ夕焼けもありだろう。料金は通常の数倍はするが、かなりくつろげる。
夕食後、夜の浜辺を散歩する。幸いサイケーオビーチはたくさんのレストランが並んでおり、真っ暗という訳ではない。もちろん暗いのだが、これはこれでなかなかいい雰囲気である。 ちなみにサイケーオビーチの入口、国立公園事務所に入る少し手前辺りに、安い食堂やゲストハウスがあった。少し出費が大きかったので明日はここらに移ってももいいかなと思う。 翌日、早速昨晩見つけた宿にチェックイン。新しい建物でエアコン、テレビ、冷蔵庫が付いて800B。それにしてもビーチフロントを外れると一気に価格が落ちるものだ。 今日も青い空と白い雲が眩しい。撮影にはちょうどいい。早速パシャパシャとシャッターを切る。
木陰の涼しい風を受けながら、綺麗な海を眺める。足元にはどこからやって来たのか黒い犬が寝転がっている。幸せな時間である。 ところが、下痢をしていた事をすっかり忘れており(アイスコーヒー飲んじゃった・・)、しばらくして再び腹痛が襲ってきた。。 昼過ぎには一度宿に戻ったのだが、やはり腹の調子が悪化してしまったようだ。という訳で、近くの食堂で再びおかゆを食べる。でも、折角ビーチに来たので、エビ入りおかゆを注文(45B)。これが大正解。美味しいの、エビがぷりぷりなのって。ああ、なんか文章が変。。でも、それぐらいおいしいおかゆだった。満足の一品。 再びビーチのイスで寝転ぶ。午後からは少し雲が出てきて撮影ができなくなった。本を持って来ていたのだが、涼しくて思わずうとうととする。下痢の為、ビールが飲めないのが辛いところだ。 夕方一度宿に戻り、再びビーチへ。 実は昨晩、とあるレストランが非常に賑わっていたのを見て、そこに行ってみようと思っていた。名前は「PLOYTALAY RESTAURANT」。プーロイはタイ人の女性の名前。タレーは海。恐らく、「プローイさんが海でやっているレストラン」なので、この名前が付いたのだろう。 まあ、名前なんてどうでもいいのだが、行ってみて流行っている理由が分かった。 基本的にシーフードバーベキューなのだが、皿毎に盛られたシーフードにそれぞれ値段が付けてある。それを指定するだけで、焼いて席まで持ってきてくれる仕組みだ。言葉や文字の分からない外国人には親切なサービスである。シーフードの他にも、トウモロコシや、ジャガイモなどの低価格な品もある。
値段はやはりちょっと高めだが、海に来る機会などそうはないので、ここは奮発してシーフードバーベキューと洒落込むことにした。エビや魚の入った皿と、シーフード野菜炒め、トムジュー(豆腐入りスープ)、ご飯で390B(約1200円)。思ったよりは価格を抑えられたようだ。というより安い。そしてジュースを飲みながら待つ事数分、運ばれてきたのがこれ。
なかなか、なかなか。素材が新鮮な為か、何を食べても美味しい。特にエビは筆舌に尽くし難い。ぷりぴりでぷにぷに。素材が違うだけで、こんなにも味が変わるのかと吃驚するほど。 そしてご飯を美味しくする何よりの条件。そうこの雰囲気。
くつろげる。とてもくつろげる。 食事を食べ終わった後も、そのまま三角枕に体をうずめ、寝転がる。薄暗いので周りを気にせずくつろげる。と言うより周りはもっとくつろいでいる。 寝転がると微かに見える星空、耳からは波の音。白人を意識してか、なかなか雰囲気にあった英語の音楽も聞こえてくる。これは予想していたよりもずっといいかもしれない。極上の時間とはこのことだろう。結局食事を含めて2時間近く居座っていた。もちろん今日も満席だったので、早めに来た方がいいかもしれない。 サメット最終日。起きると雨が降っていた。今日の撮影はできそうにない。まあ、こればかりは仕方ないか。 11時近くまで部屋で休憩し、チェックアウト。ナダン港行きのソンテウを探すが、人が集まらなかったので歩いて行く事に。10分で着いてしまった。行き同様50Bで船に乗り込むと、あっという間にバーンぺーに着いてしまった。 本土はもっと雨が強い。既に雨季に入ってしまったようだ。バスの窓に当たる強い雨が、何だか寂しさを強くする。休養、と言うよりは撮影目的で渡ったサメット島だったが、すっかり頭の中はエビで埋め尽くされてしまったようだ。 今度はチャーン島にでも行くかな。
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